費用は安く、合格率は激低。選ぶなら知っておきたい「一発試験」の全貌
「一発試験」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、指定自動車教習所に通わず、運転免許試験場で直接試験を受けて普通自動車免許を取得する方法のことです。
時間や費用を抑えられるというメリットがある一方で、非常にハードルが高いとも言われています。
では実際、一発試験で普通免許を取る人はどれくらいいるのか?
その合格率はどの程度なのか?
今回は、最新のデータをもとに、この「一発試験」の実態について探っていきます。
一発試験とは何か?
普通自動車免許を取得する一般的な方法は、指定自動車教習所に通い、所定のカリキュラムを修了したうえで卒業検定に合格し、免許センターで学科試験を受けるという流れです。
このルートでは、実技試験が教習所内で完結するため、比較的高い合格率が保証されています。
一方で、「一発試験」は、教習所を経由せずに、運転免許試験場で直接すべての試験を受けるスタイルです。
筆記試験(学科)と実技試験(技能)を試験場で受け、すべてをクリアする必要があります。
つまり、いわば「ぶっつけ本番」で免許取得に挑むわけです。
全国平均の合格率は意外と高い?
警察庁が公表している統計によると、令和5年(2023年)における普通免許(第一種)の筆記試験(仮免許学科)の全国平均合格率はおおよそ70〜80%と、意外に高い数値です。
例えば、仮免許の筆記試験については、MT(マニュアル車)で73.6%、AT(オートマ限定)で79.5%という合格率が報告されています。
実技試験(技能試験)についても、MTで57.2%、ATで59.1%と、半数以上が合格しています。
これだけを見ると、「一発試験って、そんなに難しくないんじゃない?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
一発試験の合格率は驚くほど低い
上記の数字は、教習所を卒業した人も含めた全体の合格率です。
では、指定教習所を通っていない、つまり「一発試験組」だけに絞った場合、どうなるでしょうか?
実は、警察庁の統計によると、令和5年に普通免許を取得した人のうち、「一発試験」で合格した人数は、MTで約7,100人、ATでわずか367人に過ぎません。
これは、普通免許合格者全体の中でもわずかな割合です。
さらに過去のデータを振り返ると、平成26年度における一発試験の合格率はたったの5.2%。
この数字は衝撃的です。つまり、20人に1人しか合格できていないのです。
指定教習所を卒業した場合の合格率が70〜80%であるのに対して、これは極端に低い水準です。
なぜこんなに難しいのか?
一発試験の難しさにはいくつかの理由があります。
まず、実技試験が非常にシビアであるという点です。
試験場では、試験官がプロの目線で一挙手一投足をチェックします。
少しの確認不足や速度超過、ウィンカーのタイミングなどで減点され、即不合格になることもあります。
教習所のような「慣れたコース」ではないため、受験者は初めてのコースで即座に対応しなければなりません。
また、教習所では段階的に技能が身につくように設計されていますが、一発試験ではそれを自分自身で身につける必要があります。
試験用の技能を独学や民間の講習などで習得しなければならず、ハードルは一気に上がります。
都道府県ごとの差はあるのか?
都道府県別の一発試験合格率について、詳細なデータは公表されていませんが、試験場ごとの「癖」や「厳しさ」には差があると噂されています。
例えば、都市部の試験場は受験者数が多く、その分だけ競争が激しくなる傾向にあります。
一方で、地方の試験場は受験者が少ない分、丁寧に見てもらえるという声もあります。
ただしこれはあくまで受験者の主観的な感想であり、公的なデータに基づくものではありません。
受験者数と合格者数の推移
近年の動向を見ると、一発試験の受験者は少しずつ増加傾向にあります。
令和4年から令和5年にかけて、普通免許の一発試験受験者(MT)は約24,000人から40,000人へと増加。
合格者数もそれに比例して増えています。
それでも、全体の中での割合はごくわずかです。
指定教習所経由の方が、効率や確実性を考えたときにはやはり有利であることがわかります。
まとめ:一発試験は「覚悟」が必要な道
一発試験は、金銭的コストを抑えたい人や、時間的制約がある人にとって、魅力的な選択肢です。
しかし、その道は決して簡単ではありません。
合格率は極めて低く、自己学習と自己鍛錬、そして何度も試験に挑む「粘り強さ」が求められます。
もし一発試験を本気で目指すのであれば、独学だけでなく、民間の講習や模擬試験、オンライン教材なども活用して、万全の準備で臨むことをおすすめします。
あなたが「一発」で夢をつかむその日まで、どうか諦めずに挑戦し続けてください。