教習所を断念した男が、一発試験で合格を勝ち取るまでの物語

合格率の壁を超えて──25歳会社員が一発試験で免許をつかむまで

教習所を断念した男が、一発試験で合格を勝ち取るまでの物語

「もう一度、今度こそは絶対に免許を取る」
25歳の会社員・高橋健太さん(仮名)は、そう心に誓って普通免許の一発試験に挑んだ。
学生時代に一度は教習所に通ったものの、学業やアルバイトで忙しくなり、途中で通えなくなって断念。
そのまま数年が過ぎてしまった。
だが社会人になり、車が必要な場面が増えてきた今、もう後戻りはできない。

教習所を選ばなかった理由

「社会人になると本当に時間がないんです。
平日夜や土日にまとめて教習を受けようと思っても、会社の付き合いや出張で予定が埋まってしまう。30万円以上かかる費用もネックでした」

そんなときに見つけたのが“一発試験”という選択肢だった。
試験場で直接受験すれば、費用は数万円程度に抑えられる。もちろん合格率は低く、何度も落ちる人が多いと聞いていたが、それでも健太さんは挑戦を決意した。

仮免許学科試験──最初の一歩は順調に

最初に受けた仮免許学科試験は、1回で合格。
学生時代に勉強した知識が残っていたのと、通勤電車でコツコツ問題集を解いた努力が実った形だった。
「ここでつまずいたら先が思いやられるなと思ってたので、まずはホッとしました」

仮免許技能試験──苦戦の始まり

だが次の仮免許技能試験では、いきなり現実の厳しさを思い知らされる。
1回目は発進直後に安全確認不足で減点。緊張もあって、ミラーと目視の確認を試験官に“見せる”ことを忘れてしまった。
2回目は坂道発進でエンストし、後続車がいない状況でも即減点対象に。
「普段なら落ち着いて操作できるはずなのに、試験官が横にいるだけで頭が真っ白になってしまうんです」

それでも諦めずに挑み続け、3回目でようやく合格。
減点を恐れるよりも「とにかく安全確認を大げさに、慎重に」を意識したのが勝因だった。

会社と受験の両立という壁

試験はすべて平日に行われる。
健太さんの会社は土日休みのため、受験するには有給を取る必要があった。
「忙しい部署だったので、有給を申請するのも気を使いました。周りに“また落ちたの?”と聞かれるのも正直つらかったです」

だがそこで諦めては、これまでの努力が無駄になる。
彼は仕事と両立させながら、空いた時間に運転イメージを頭でシミュレーションし続けた。

本免許学科試験──再び一発合格

仮免を手にしてからはスムーズに進んだ。
本免許学科試験は1回で合格。通勤時間の勉強法を続けていたことが効いた。
「学科は努力がそのまま点数に表れるので、ある意味わかりやすいですね」

本免許技能試験──ついにゴールへ

迎えた本免許技能試験。
緊張はしたが、仮免技能試験での失敗が活きた。
「安全確認は首をしっかり振って“見せる”。右左折では早めの合図。速度は無理せず制限以下。試験官に“安心して横に乗れる運転”を心がけました」

結果は1回で合格。
試験官から「落ち着いて丁寧に運転できていましたよ」と言われた瞬間、胸のつかえが一気に取れた。

合格の喜びと学び

免許証を手にしたときの喜びは、言葉にできないほど大きかった。
「長い道のりでしたけど、頑張って続けてよかったです。教習所とは違う大変さがありましたが、その分、達成感は格別ですね。」

一発試験に挑む人へのエール

健太さんは、自身の経験からいくつかのアドバイスを贈る。

  1. 安全確認は“オーバー”なくらいでちょうどいい
     試験官に伝わる動作を意識すること。

  2. 学科はスキマ時間で十分カバーできる
     通勤や昼休みに問題集を解く習慣が大切。

  3. 失敗しても落ち込まないこと
     一発試験は落ちて当たり前。続けること自体が合格への近道。

  4. 仕事や学校と両立する工夫を
     計画的に有給や休みを使い、周囲に協力してもらうことも大切。

  5. 「なぜ一発試験に挑むのか」を忘れない
     動機を心の支えにすると、つらい時期を乗り越えられる。

「一発試験は確かに難しいです。でも、そのぶん合格したときの喜びは想像以上です。諦めなければ、必ずゴールは見えてきます。」

健太さんの言葉は、これから挑戦する人への力強いエールとなるに違いない。

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